訪問介護員等による有償運送とは、通称「4条(43条)ぶら下がり許可」もしくは「78条許可」と呼ばれる、介護保険法に基づく訪問介護事業所または障害者総合支援法に基づく居宅介護事業所の指定を受けた一般乗用旅客自動車運送事業者との契約に基づき、訪問介護または居宅介護のサービスを提供する訪問介護員・居宅介護従業者・介護福祉士に係る運送許可です。

運送の形態はケアプランに基づき訪問介護サービス等と連続して、または一体としておこなう要介護者の輸送です。通院等乗降介助の介護報酬が獲得できます。

 

許可の流れ

1.訪問介護・居宅介護事業所等の指定を受ける

2.介護タクシー(福祉輸送事業限定)の許可を受ける(運輸支局)

3.訪問介護員等による有償運送(ぶら下がり許可)の許可を受ける(運輸支局)

4.通院等乗降介助の届け出を行う

許可基準

契約事業者の責任において、許可を受けた自家用自動車について、下記安全の確保が適切に行われていること

  1. 運行管理を行う体制が整備されている
  2. 運行管理の指揮命令系統が明確である
  3. 運行管理者の選任が適切である
  4. 事故防止についての教育、連絡体制及び責任体制等が整備されている
  5. 事故時の処理、連絡体制および責任体制が整備されている
  6. 苦情の処理体制が整備されている  

ケアマネジャーが作成する介護サービス計画(ケアプラン)または市町村が行う介護給付支給決定の内容に基づき、資格を有する訪問介護員等が訪問介護サービス等と連続して、または一体として行う輸送である。

  1. 運送の発地または着地のいずれかが、契約する訪問介護事業所等の指定を受けた運送事業所営業区域内であること
  2. 契約している運送事業者の営業所にて運送の引き受けを行うこと
  3. 契約自家用自動車内には旅客から収受する運賃および料金を掲示すること
  4. 使用車両に有償運送に用いる車両である旨表示する

運転者の要件

  1. 第2種運転免許を保有し、申請前2年間無事故無違反かつ運転免許の停止処分を受けていないこと
  2. 第1種免許で申請前2年間無事故無違反かつ運転免許の停止処分を受けていないこと、国土交通省が認定する講習を修了しまたは終了する具体的な計画があること                                                                  1種免許+福祉有償運送運転者講習の終了    1種免許+ケア輸送サービス従事者研修の修了
  3. 訪問介護員が法7条の欠格事由各号に該当しない
  4. 下記のいずれかの資格が必要
  • 介護福祉士
  • 訪問介護員
  • 指定居宅介護等の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの(居宅介護従事者)

上記のうち、介護福祉士・訪問介護員・指定居宅介護等の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの(居宅介護従事者)についての詳細は、以下の通りです。以下の有資格者・研修修了者は、セダン等運転者講習の受講免除対象者となります。介護福祉士・訪問介護員・居宅介護従事者の詳細について

  • 介護福祉士
  • 訪問介護員
    • 実務者研修修了
    • 介護職員初任者研修修了(看護師・准看護師・保健師を含む)
    • 訪問介護員養成研修(ヘルパー)1級修了
    • 訪問介護員養成研修(ヘルパー)2級修了
    • 介護職員基礎研修修了
  • 指定居宅介護等の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの(居宅介護従事者)
    • 居宅介護職員初任者研修修了
    • 障害者居宅介護従業者基礎研修修了
    • 重度訪問介護従業者養成研修修了
    • 行動援護従業者養成研修修了
    • 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了
    • 同行援護従業者養成研修修了
    • 介護職員初任者研修課程修了
    • 生活援助従事者研修課程修了
    • 視覚障害者外出介護従業者養成研修修了(ガイドヘルパー)
    • 全身性障害者外出介護従業者養成研修修了(ガイドヘルパー)
    • 知的障害者外出介護従業者養成研修修了(ガイドヘルパー)

看護師・准看護師・保健師の方は、介護職員初任者研修を修了したものとみなされます。各都道府県の判断により、「看護師等の資格証」をもって代えることができるとされています。

使用車両等

  1. 契約自家用車両は乗車定員11名未満の自動車で車いす若しくはストレッチャーのためのリフト、スロープ,寝台等の特殊な設備を設けた福祉車両および乗用自動車(軽自動車含む)
  2. 訪問介護員が使用する車両の使用権原を有する

損害賠償

訪問介護員が使用する車両について対人8,000万円以上 対物200万円以上の任意保険若しくは共済に加入していること、その計画があること

許可の期限

原則2年間

許可申請書

  1. 自家用自動車有償運送許可申請書
  2. 自家用自動車有償運送許可申請者名簿及び使用車両一覧
  3. 旅客自動車運送事業者の訪問介護員等に対する運行管理等の体制を記載した書面
  4. 旅客自動車運送事業者に関する要件等を満たしている旨を証する書面(宣誓書)
  5. 申請者(訪問介護員等)に関する要件等を満たしている旨を証する書面(宣誓書)

許可申請書添付資料

  1. 自家用自動車有償運送許可申請名簿
  2. 使用車両の明細を記載した書面
  3. 自動車運行管理体制および運行管理の指揮命令系統を記載した書面
  4. 事故防止についての教育および教育体制を記載した書面
  5. 事故時の処理、連絡体制および責任体制が整備されている
  6. 車両についての整備管理体制等を記載した書面
  7. 苦情の処理体制を記載した書面
  8. 損害賠償能力の内容を記載した書面
  9. 運行管理者を選任する場合は運行管理資格者証
  10. 第2種免許保有していない場合は国土交通大臣が認定する講習の終了証を証した書面または終了する具体的な計画を記載した書面
  11. 訪問介護事務所等の指定を受けた旅客自動車運送事業者と訪問介護員等の間で定めた自家用自動車有償運送に関する契約書(写)

通院・外出介助・通院等乗降介助に関して

  1. ケアプランにあらかじめ位置づけられていること
  2. 居宅を起点とした通院介助(居宅を起点としない場合は認められません)…医療機関で利用者と待ち合わせして院内の受診手続き・移動介助を行い、その部分を単独で請求は認められない
  3. 乗降時に車両内から見守るのみでは通院等乗降介助の算定の対象にはなりません
  4. 車両への乗降介助だけでなく乗車前・降車後の屋内外における移動等の介助または通院先での受診手続き・移動等の介助を併せて行う必要があります。
  5. 院内介助は原則として院内スタッフにて対応されます。
  6. 訪問介護員が一人で乗降介助+運転を行う場合での通院等の外出介助は通院等乗降介助の請求です。ただし①要介護度4または5の場合の例外扱い ②前後に外出に関係しない介助行為を伴う場合は身体介護で請求することができます。

報酬

 報酬(円)税込法定費用(円)合 計(円)
自家用自動車有償運送許可
(ぶら下がり許可)
 38,500      0 38,500.
通院介助算定届出書 33,000.     0 33,000.
一般乗用旅客自動車運送許可198,000.30,000.228,000.
特定乗用旅客自動車運送業許可申請198,000.30,000.228,000.

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